公務員ユーチューバーはグレーゾーン!注意点を解説!
よく「公務員は企業社員と比べると安泰」と言われますが、そうは言ってもなにかと将来の不安はつきものですよね。そのため「なにか副業をしてお小遣いを稼げたらうれしい」と考えている人は決して少なくないはずです。でも「公務員は副業禁止」という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
確かに法律では公務員の副業について規定しているものがあり、それによると公務員は原則的に副業はできないことになっています。でもそうなると気になるのは「ユーチューバーは副業になるか?」という点ではないでしょうか?
Youtubeで稼いでいる人がよく話題になるので、これはかなり気になるポイントでしょう。そこでこの記事では、公務員がユーチューバーとしてデビューするにあたってどんな法律を意識すべきかを解説したいと思います。
1、公務員の副業は原則禁止されている
公務員が副業を禁止している法律はいくつかありますが、国家公務員と地方公務員それぞれに関係する法律をあげると以下のようなものがあります。
- ・国家公務員法103条
- ・国家公務員法104条
- ・地方公務員法38条
上記の法律名どおり、国家公務員の副業については国家公務員法103条および104条が、地方公務員の副業については地方公務員法38条がそれぞれ関係しています。
国家公務員と副業
国家公務員の副業規則の詳細を見ていきましょう。まずは国家公務員に関してですが、上記の条項はそれぞれ以下のようになっています。
国家公務員法103条:「職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。」
国家公務員法104条:職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
この2つの規則を見ると、やはり報酬を得て副業を行うのは基本的にNGであることがわかります。
地方公務員と副業
続いて地方公務員ですが、規則の詳細は以下の通りです。
地方公務員法38条:職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
こちらについてもやはり営利目的の副業はNGです。営利目的の副業がNGなのは、やはり公務の公平性が損なわれる可能性があることや、職務に専念する上で悪影響が出てくる可能性があることが背景にあると言えます。
実は例外もある
とはいえ公務員が副業してお金を受け取れる例もあります。例えば地域に貢献する活動やNPO法人での活動など、私的利益ではなく公益性が高い事業に関しては上司の許可をとって副業できる場合もあります。例えば「地元の野球チーム指導員として働いて謝礼を受ける」といったケースです。
また小規模の不動産投資や株やFXなどの資産運用、公務の情報漏洩リスクがない執筆活動、小規模農業、家業の手伝いなども例外として認められる可能性があります。要は「公務員としての信頼が守られ、特定の人物や企業との利害関係がなく、本業の公務に集中できる程度の副業であれば認められることもある」ということです。
2、じゃあユーチューバーはどうなの?
ここまで「公務員の副業は原則NG、けど例外もある」という点を見てきましたが、そうなると気になるのは「ユーチューバーはOKなの?」という疑問です。結論から先に言うと「YesともNoとも断言しにくいグレーゾーン」と言えます。
さきほど紹介した法律分の下線部に注目してください。どの規則についても「営利目的」とか「報酬」といった言葉が出てきますが、これは裏を返せば「営利目的でなければOK」ということです。ですから趣味で好きな動画をアップしてユーチューバーになること自体は法律違反とは言えません。例えば愛猫の動画をみんなに公開してもNGではないはずです。
ただし「ユーチューバー=金儲け」という認識が世間には浸透しつつあるので、仮に営利設定をしてなくても、もし、顔出しや声出しで世間に公務員であることがバレれば批判を受ける恐れがあります。ですから極力、身元が判明しない工夫をしないといけません。
営利目的でユーチューバーになるとマズイ?
では営利設定をしてユーチューバーとしてチャンネル運営をしたらどうなるでしょうか。「営利目的」という観点から見るとNGでしょう。家業の手伝いや小規模農業などでお金を得ることはできますが、これは投資や家業という特別な背景があるからこそ許可が出やすいと言えます。
一方ユーチューバーはYoutubeを運営するGoogleとの利益関係があるわけなので、営利目的でチャンネル運営をすれば「特定の企業に利益をもたらすことになる」と言えます。そうなるとやはり副業規定に引っかかってきそうです。
とはいえ、中には「執筆活動はOKでしょ?だったら文字と動画という違いこそあれ同じ表現の自由でユーチューバーもいいのでは?」という疑問を持つ人も出てくるでしょう。これは当然の疑問ですが、現在のところ肯定するだけの十分な判断材料はありません。
最近は国レベルで副業解禁の流れが出てきています。議員の間でもそれに関する話題が出ているので、今後ユーチューバーなどのネット事業を含む様々な副業が許可される可能性は十分あります。ただ、少なくとも法律が整備されるまでは、下手な動きを避ける方が賢明です。
3、まとめ
公務員と副業との関係を見てきました。まとめると「公益性があるものや投資など、一部の例外に関しては報酬が発生するとしても、上司の許可を得て副業することが可能」です。一方「特定の個人や企業との利害関係がある副業はNG」です。
ユーチューバーという業態は比較的新しいものなので、営利や公益性という点と照らし合わせてどう見るべきかについては現時点で断言できません。しかし、公務員という安定した職をキープするためには、少なくとも今の時点では、非営利の趣味として動画をアップする程度がちょうど良いでしょう。今後の副業規定の緩和に期待しつつ、Youtubeを楽しんでください。